塗料用語集
Paint Glossary
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ア行
- 圧装圧力
スプレー塗装において、スプレーガンに塗料を供給する圧力を圧装圧力という。 塗料を圧装する機器は、主に塗料圧装タンク、塗料供給用のポンプなどが用いられる。
- あな
塗面にできた、肉眼で見分けられる程度の小さい穴。
- アルカリコンタミ
塗装前処理の脱脂工程で使用される脱脂剤(アルカリ)が、その後の工程の水洗いによって除去されずに残り、シミ状となったもの。
- あわ
塗膜の内部にできたあわ。塗料を塗ったときにできたあわが消えないで残ったものが多い。
- 移行
塗膜に含まれる顔料が表面に移り出てくる現象、表面を布などでこすると、顔料が布などに付着するので分かる。
- 印加電圧
静電ガン先端のコロナ電極に供給される電圧。通常、直流の-40~-100kV。
- 隠蔽力
塗膜が下地の色の差を覆い隠す能力。黒と白とに塗り分けて作った下地の上に、 同じ厚さに塗ったときの塗膜について、色分けが見えにくくなる程度を、見本品の場合と比べて判断する。
- ウェット・オン・ウェット
下塗り塗装後、焼付乾燥を行わず、僅かな時間のセッティングのみで上塗塗装を行い、 下塗り、上塗りの塗膜を同時に焼付乾燥すること。この工程では焼付工程を一回省くので、ツーコートワンベークともいう。
- 上塗り塗料
塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするときの、上塗りに用いる塗料。
- エアブロー
圧縮空気により、被塗物表面の水分、ゴミなどを取り除くこと。この作業専用ガンもある。
- エッチング
広い意味では、何らかの侵食作用により表面から材料を除去すること。塗装では被塗物表面を侵食して表面改質すること。
- オーバースプレー
スプレー塗装において、その噴霧パターンが被塗物のないところまでスプレーされることをいう。 静電塗装の場合には、故意にオーバースプレーを行って裏面へ回り込みを行うことが多い。
- オーバースプレーダクト
狙った被塗物に付着せず、前後、左右の被塗物に付着する粒子をいう。単に被塗物に付着しない粒子を指すこともある。
カ行
- 界面活性剤
二物質間界面に配向しやすい性質を持つ物質。親水基と疎水基、または極性基と非極性基と呼ばれる二つの異なる部分を持った化合物。 塗料関係では、顔料分散剤、乳化剤、消泡剤、色別れ防止剤などに幅広く使用されている。
- 化成処理(化成皮膜処理)
化学薬品で金属表面を処理し、その表面に水が不溶性な塩類の皮膜を化成させる方法。 塗装の前処理に利用、付着性の良い耐食性皮膜が得られる。鉄鋼にはリン酸鉄塩、リン酸亜鉛鉄塩、アルミにはクロム酸塩、リン酸塩、 亜鉛ダイカストにはリン酸塩、クロム酸塩の化成処理液が利用される。
- 可塑剤
合成樹脂塗料などに対し、塗膜の弾性、柔軟性、耐寒性などの向上を目的として加える化合物。
- 加熱残分(NV値)
試料を加熱して蒸発成分を除いたときの残留物を加熱残分とし、これを試料中の百分率として求める。
- かぶり
塗料の乾燥過程で起こる塗膜の白化現象。溶剤の蒸発で空気が冷やされ、その結果、凝縮した水分が塗料の表層に浸入し、 または溶剤の蒸発中に混合溶剤間の溶解力の均衡が失われて、塗膜成分のどれかが析出するために起こる。
- からとぎ
塗膜に水・ガソリンなどをつけないで、研磨剤だけで研ぐ方法。
- 皮張り
塗料が容器の中で空気との接触面に皮を作る性質。
- ガンスピード
スプレー塗装において、被塗物に対して塗装しながら動くスプレーガンの速度のこと。 このスピードが遅いと厚塗りになり、速いと薄くなるので、その速度の決定は重要である。
- 間接加熱炉
バーナーで燃焼されたガスが炉内に設置された放熱ダクトに供給され、間接的に被塗物を乾燥する加熱炉をいう。 この加熱炉は、燃焼ガスが被塗物に直接触れないので、黄変が起こりにくい。
- 顔料
塗料の中に含まれる樹脂分を除いた固形分。塗料に着色するための着色顔料、塗料体積を増す体積顔料などがある。
- 希釈粘度
塗装に際して、塗装条件に合わせて塗料の粘度調整をするが、この溶剤を加えて調整した後の塗料の粘度を希釈粘度という。 一般に測定は粘度カップで行い、塗料の落下時間の秒数で表す。粘度が高い場合は、B型粘度計で行い、単位はPa・s(パスカル・秒)で表す。
- 凝結性
塗料中の顔料が、貯蔵中に沈降して固くかたまる性質。
- 鏡面光沢度
面の入射光に対して等しい角度での反射光、すなわち鏡面反射光の基準面における同じ条件での反射光に対する百分率。 面の光沢の程度を表す。光沢度が比較的大きい塗面では、法線に対して入射角60度、反射角60度ではかる。これを60度鏡面光沢度という。 鏡面光沢度の基準面として屈折率1.567のガラスの平面を用いる。
- くぼみ
塗ったときに、塗膜にできた小さな凹み。
- 曇り
塗膜のつやがなくなること。
- 蛍光塗料
塗膜が、蛍光発光性を持つ塗料。蛍光顔料を用いて作る。
- ゲル化
液状のものが不溶性のゼリー状になること。塗料では、容器の中で固まって、シンナーを加えてかき混ぜてもビヒクルが一様に溶けない状態。
- 硬化剤
ビヒクルと反応して縮合や重合を起こし、塗膜を硬化、乾燥させる化合物。 たとえばエポキシ樹脂塗料では、ジエチレントリアミン、ポリアミド樹脂などが用いられる。
- 光輝性顔料
薄片状で特有の光沢を持つ顔料。見る角度により塗膜に異なる色感を与える。 アルミニウムや雲母に酸化チタンをコーティングしたものなどがある。
- 高沸点溶剤
沸点が150℃以上の溶剤。一般に蒸発速度が遅い。
- 混合溶剤
塗膜形成のために蒸発速度や樹脂溶解性を調整し、各種の塗装条件に合わせて二種類以上の単一溶剤を混合したもの。
サ行
- 彩度
物体表面の色味の強さを等しい明るさの無彩色からの隔たりで表した視知覚の属性。鮮やかな色ほど彩度が高く、グレーに近いほど彩度が低い。
- 酸化防止剤(抗酸化剤)
油脂やポリマーなどが有機物酸化によって物理的、及び化学的性質が劣化するのを防止するために添加する物質。
- サンディング
サンドペーパーやサンダーなどで塗装面の汚れを取り、平滑にすること。
- シーラー(バリヤーコート)
旧塗膜面、或いは下塗塗装面に塗装し、下層からのにじみを防止し、上塗塗膜のチヂミ、及び吸い込みを防ぐ塗料。 主に合成樹脂系の塗料が多い。
- 色差
色の差異を数量的に表したもの。
- 色相
赤、黄、緑、青、紫のように特徴づける色の属性。
- 指触乾燥
塗料の乾燥過程で、軽く指先で触れても塗膜が指先に付かないような状態。その時の粘度は100~1000Pa・s程度。
- 下塗り塗料
塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするときの下塗りに用いる塗料。塗装系に対する生地の悪影響を防止し、付着性を増加させるために用いる。
- しみ
塗面に、他の大部分と違った色が小部分となって発生すること。異種の物質の混入・侵入・付着などで起こる。
- 熟成時間
多液型塗料を混合して塗装するとき、混合後化学反応が開始されるが、その塗料が最も塗膜性能を発揮する混合開始からの時間。 この時間は同じ塗料でも液温、混合量によっても異なる。
- 昇温スピード
所定時間当たりの被塗物の温度上昇量。昇温スピードが遅いと乾燥時間が長くなるので乾燥炉も長く必要になり、速 すぎるとワキなどの塗膜欠陥が起き易い。
- シルキング
塗面にできる、絹糸状の外観の極めて細かい平行のすじあと。
- しわ
塗料の乾燥過程で、塗膜にできる波状のでこぼこ。通常は上乾きが著しいときに、表層の面積が大きくなってできる。 でこぼこには、平行線・不規則線状・ちりめんじわ状などがある。“ちぢみ”とはいわない。
- 吸い込み
塗ったときに、生地に塗料が過度に吸収される現象。
- 透け
下地が透けて見える現象。一般に隠ぺい力が小さい塗料を用いたり、下塗りと上塗りとの色差が大きいときに起こりやすい。
- 捨て塗り技法
溶剤で4~5倍に希釈した塗料を予め素材に塗布しておき、着色剤の吸い込みむらを押さえる技法。
- セッティング
塗装後、さらに上塗り塗装をしたり、或いは焼付乾燥する場合、塗膜中の揮発成分を一定割合蒸発させたり、 塗面を平滑化させるために自然放置すること。「ワキ」や「ながれ」を防止する目的で行う。
- 相溶性
二種類以上の物質を混合した時、均一な混合物を形成する性質。 塗料の場合、混合によってゲル化、析出、凝固などを生じない性質。比率によっても変わる。
ナ行
- 中塗り塗料
塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするときの、中塗りに用いる塗料。 下塗り塗膜と上塗り塗膜との中間にあって、両者に対する付着性を持ち、塗装系の耐久性を向上させる目的に用いるもの、 下塗り塗面の平らさの不足を補うために用いるものなどがある。後者では塗膜が厚くて研磨しやすいことが特徴である。
- にじみ
一つの塗膜に他の色の塗料を塗り重ねたとき、下層の塗膜の成分の一部が上層の塗料に移行して、上層塗膜の本来の色と違った色になること。
タ行
- 耐アルカリ性
アルカリの作用に対して変化しにくい塗膜の性質。
- 耐塩水性
食塩水の作用に対して変化しにくい塗膜の性質。
- 耐屈曲性
塗膜を折り曲げたとき、割れにくい性質。
- 耐候性
屋外で、日光・風雨・露霜・寒暖・乾湿などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質。
- 体質顔料
塗膜の補強・増量の目的で用いる屈折率の小さい白顔料。
- 耐衝撃性
塗膜が物体の衝撃を受けても破壊されにくい性質。
- 耐薬品性
塗膜が酸・アルカリ・塩などの薬品の溶液に浸しても変化しにくい性質。
- 耐溶剤性
塗膜が溶液に浸しても変化しにくい性質。
- ダミー
実物のように見せかけたもので、塗装では静電塗装の場合に端部の膜厚が厚くなって「たれ」が生じるのを防ぐために、 ダミーに付着させる方法も行っている。
- チキソトロピー性(揺変性)
単にかき混ぜたり、振り混ぜたりすることによって、ゲルが流動性ゾルに変わり、これを放置しておくと再びゲルに戻る性質。 顔料粒子を重合アマニ油に分散させたペイント、ベントナイトのサスペンションなどよく見られる。
- 着色顔料
塗料の色づけなどに用いる顔料。
- 直火式ガス燃焼炉
バナーで燃焼したガスが直接炉内に供給される燃焼炉をいう。この燃焼炉は、燃焼ガスが直接被塗物と接触するので、黄変が起き易い。
- 2コート方式
一度に厚塗りするのでなく、一回適度な塗膜厚に塗装した後、乾燥または半乾燥し、さらに塗装して規定の塗膜厚にすること。
- 付き廻り性
電着塗装では、被塗物の一部に塗膜が形成されると塗膜抵抗により塗膜の析出が抑制され、塗膜の付いていない部分に電流が流れ、 そこに塗膜が形成される。従って直接電極が対面していない部分でも塗装される。この性質を付き廻り性という。
- 低沸点溶剤
沸点が100℃以下の溶剤。一般に蒸発速度が速い。
- 塗膜硬度
塗膜の硬さを鉛筆引っかきで調べ、その硬さを鉛筆の濃度記号(1H、2H・・・)で表す。
ハ行
- はじき
塗料を塗って間もなく、塗料がはじかれて下地面に付着しなくなり、塗膜に点状の不連続部分ができること。 下地面と塗料との間の表面張力の不均等などによっておこる。
- パターン幅
塗料噴出口からある距離における塗料粒子の広がり幅。エアスプレーの場合、スプレーガンの種類やパターン開き調整つまみの開度、 エアレススプレーの場合、ノズルチップの種類、圧送圧力などに影響される。
- 発光塗料
塗膜が暗い所でも見えるように、発光材料を混入して作った塗料。
- パテ
下地のくぼみ・割れ・穴などの欠陥を埋めて、塗装系の平らさを向上させるために用いる肉盛り用の塗料。 顔料分を多く含み、多くはペースト状である。
- 針穴
塗膜にできた極めて小さい穴。ピンホールともいう。
- ビヒクル(展色剤)
顔料を分散させる媒体。すなわち塗膜形成要素を溶剤に溶解させたもので、重合油、天然または合成樹脂、 繊維素やゴムの誘導体など高分子物質が利用される。塗料の性質はこのビヒクルに支配されることが多い。
- プライマー
塗装系の中で生地に初めに用いる塗料。プライマーは、生地の種類や塗装系の種類に応じた各種のものがある。
- 変色
塗膜の色の色相・彩度・明度のどれか一つ、または一つ以上が変化すること。
- ポットライフ
多体塗料を使用するために混合したとき、ゲル化・硬化などが起こらず、使用に適する流動性を保っている時間。 使用時限といったときもある。
マ行
- 水とぎ
耐水研磨紙・といし・とぎ水などを用いて、水をつけながら塗膜を研ぐ方法。
- 無彩色
白色・灰色・黒色のような、色相をもたない色。
- 明度
色の明暗に関する視知覚の属性。白と黒との間に配列された灰色群の一つと同等であるように分類された色の属性。
ヤ行
- 焼付け塗料
生地に塗ってから加熱して塗膜が形成できるように作った塗料。加熱の温度は、普通100℃以上とする。
- 有機顔料
有機物を発色成分とする顔料。
- 有彩色
赤、黄、青のような、色相をもった色。
- ゆず肌
ゆずの実の表皮のような小さなくぼみのある塗膜の外観。吹付け塗りのときに、塗料の流展性の不足によって起こる塗料又は塗装上の欠陥。
ラ行
- レベリング
塗ったのち、塗料が流動して、平らで滑らかな塗膜ができる性質。